ペットショップ店員の給料や年収を、店長や正社員、アルバイトなどに分けてそれぞれ解説しています。またペットショップ店員の業務内容や給料・年収を上げる方法も併せてご紹介しています。
ペットショップとは

概要
ペットショップとは、犬・猫を中心としたペットや関連商品を販売するお店です。
個人経営のお店からチェーン店までさまざまな形態のペットショップがあります。
しかし近年では生体(ペット)・ペット関連グッズ販売と、ペットホテルやトリミングといったペットサービスを取り扱う総合型ペットショップが主流になっています。
総合型ペットショップのメリットとしては以下が挙げられます。
- 展示しているペットの種類が豊富
- 店舗間ネットワークが充実している
- 保険や保証制度が充実している
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
総合型ペットショップのメリット①ペットの種類が豊富
まずペットの種類が豊富だと、お客様がさまざまな種類のペットを見比べながらペットを選べるというメリットがあります。
来店するお客様の中には、犬や猫など飼いたい動物種は決まっていても、品種までは絞っていないことが多いです。
そのため、様々な品種を比較できる総合型ペットショップは魅力が大きいです。
総合型ペットショップのメリット②多店舗との連携が抜群
また総合型ペットショップはチェーン店が多いです。
そのため、お客様が希望する品種のペットやペット用品が店頭にない場合、取扱のある系列店から取り寄せられます。
このようにお客様のニーズに合った柔軟な対応ができることは強みのひとつです。
総合型ペットショップのメリット③充実した保険・保障制度
多くの大手チェーン店ではペット保険の代理店となっています。
そのためペットの購入と同時にペット保険への加入が可能です。
ペットショップによっては購入後に一定期間保険料免除のサービスがあります。
また万が一購入後にペットの先天性の病気などが発覚した場合や死亡してしまった場合に他のペットを無償で提供するなどの保証制度も整備されていることが多いようです。
このように総合型ペットショップには様々なメリットがあります。
また総合型ペットショップには独立型店舗も多くあります。
とはいえショッピングモールやホームセンターに出店する店も増えてきています。
そのため購入する気がなくとも買い物ついでに気軽に立ち寄れることができます。
こういった構造が来店のハードルを下げる効果があるでしょう。
また多くの総合型ペットショップで扱うド物は犬・猫だけではありません。
鳥類・爬虫類・両生類・魚類・昆虫など扱うペットの種類は多岐にのぼります。
そのため総合型ペットショップで働く店員には、扱っているペットの生態や飼育方法など、さまざまなペットの深い知識が求められます。
なおペットショップについては下記の記事で詳しく紹介しています。
併せて読んでいただくとより理解が深まるかもしれません。

近年のペットショップの主流は総合型ペットショップであり、豊富な品揃えと幅広いサービスを提供できるメリットがあります。
ペットショップ店員の業務内容
ペットショップ店員の業務内容を、店長・正社員・パート/アルバイト別に詳しく解説していきます。
店長の業務内容

店長は、ペットショップの店舗運営に関する業務全般を担っています。
その具体的な業務内容には以下が挙げられます。
- 売上管理
- 本社との会議など打ち合わせ
- 勉強会、講習会への参加
- 他店への出張
- パート/アルバイトの面接
- スタッフ教育
- シフト作成
上記のように店長は、店舗を円滑に運営するための仕事がメインです。
そのため接客やペットの健康管理といった店頭の仕事に出てこないことが多いです。
またパート/アルバイトの面接では、知識やスキルのあるパート/アルバイトを採用することは店舗の売り上げ増加につながるため、人材を見極める力が求められます。
実際、パート/アルバイトはお客様の店舗への印象を左右します。
求人方法を工夫したり資格保有者を優遇し、優秀な人材を確保できるよう努めましょう。
また打ち合わせや講習会、出張などで店舗を空けることもあります。
そのため正社員とのコミュニケーションもよく取り、普段から店長不在でも店舗が円滑に回るようにスタッフの教育を徹底することも大切です。
正社員の業務内容

正社員の業務には主に以下のものが挙げられます。
- 商品管理(在庫管理、商品発注、伝票整理など)
- 売上集計
- 営業日報作成
- 生体の健康管理
- 接客
- クレーム対応
商品管理では、商品の売れ行きや在庫管理をして、商品の発注をかけます。
力を入れたい商品の陳列を工夫したり、POP作成など販売促進も大切な仕事です。
そして健康管理ではパート/アルバイトが記録している健康チェック表を管理します。
その上で変わった様子がないかをスタッフに確認します。
異常がある場合は病院に受診するかを判断するのも仕事の一つです。
またパート/アルバイトでは対応の難しいお客様やクレーム対応も正社員の仕事です。
さらにペット購入時の契約など責任が伴う仕事も正社員が担当することの多い業務です。
このように店長と同様に動物のお世話よりもお客様との関わりや事務作業が多いです。
アルバイト・パートの業務内容

アルバイト/パートの業務内容は、大きく分けると二つあります。
一つはペットに関わる業務で、もう一つは来客や店舗に関わる業務です。
具体的には以下の業務内容があります。
- 生体(ペット)のお世話、健康管理
- 接客
- 清掃
それぞれ詳しく解説していきます。
ペットに関わる業務
ペットショップの売上の大部分を占めるペットのお世話・健康管理は、パート/アルバイトの最も重要な仕事です。
まず開店前にペットのケージを掃除し、個体ごとに餌を計量して与えます。
エサを与える際は、動物種、品種、月齢によりエサの種類や量が決められていたり、ふやかして与えるなど給餌方法も異なります。
そのためミスのないよう確認しながら行わなければなりません。
またエサをあげる際には食いつき具合や食べ残しの有無も確認しましょう。
そして一頭一頭の便の量や頻度などを記録し、普段と違う様子がないか確認します。
次に犬や猫の場合は爪切りなどのお手入れが必要です。
他にも毛が汚れていると部分的にシャンプーする必要があります。
特に子犬や子猫の爪は細くとがっています。
そのため抱っこした際にお客様がひっかかれたり、お客様の服などに爪が引っかかってペットがけがをしてしまったりするケースがあるのでこまめに切る必要があります。
また毛玉や排泄物の汚れなど気を配ることが多いです。
というのも展示されている以上、清潔感は必須だからです。
来客や店舗に関わる業務
接客では、ペットとのふれあいをおすすめしたり、ペットの飼い方やペット用品の使い方などを説明します。
声掛けする場合は、お客様の様子をよく観察し、タイミングを計りましょう。
実際に触れあうと多くのお客様の購入する意欲が刺激されます。
そのためペットと触れ合う機会を作ることは売上を上げるために重要なスキルです。
またペットショップに来店するお客様はペットを購入する人だけではありません。
すでにペットを飼っているお客様も多く、ペット商品の使い方やおすすめ商品、しつけや世話の仕方などさまざまな質問を受ける機会も多くあります。
そのためペットの生態や飼育方法の知識はもちろん、さまざまな商品の情報も頭に入れておかなければなりません。
また清掃では、店舗内が常に清潔であるよう気を配ります。
ペットが排泄した場合は速やかに清掃してケージ内を清潔に保ち、床や商品棚のほこりなど隅々まで清掃します。
またペットショップによってはペット同伴で入店できる店舗もあるため、店内の抜け毛やマーキングなどで汚れがないかをこまめに確認しましょう。
なおペットショップスタッフの業務内容は下記でも紹介しています。
併せて読んでいただくとより理解が深まるかもしれません。

店長・正社員・パート/アルバイトがそれぞれの持ち場を責任もって担当し、店舗が円滑に運営されるよう協力し合って働いています。
ペットショップ店員の年収
スタッフ年収を、店長・正社員・パート/アルバイトに分けてそれぞれ解説していきます。
ペットショップの店長の平均年収

店長の給料は、正社員の給料に店長手当として数万円プラスさせる程度が多いようです。
ペットショップの正社員の平均年収が264万円ほどです。
そのため店長の年収は300〜316万円ほどが相場だといえます。
また売上にもよりますが、ボーナスは正社員より多い傾向があります。
ペットショップの正社員の平均年収

令和3年度賃金構造基本統計調査によると、ペットショップ正社員の平均年収は354.8万円、平均月給22万円となっています。
国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、日本全国の平均年収は433万円となっているので、ペットショップ正社員の給料は全国平均よりも低い水準であることがわかります。
また地域によっても給料に差があり、都市部では給料が高めのことが多いようです。
例えば全国で最も給料が高いのが東京都で、平均年収409.9万円、平均月収20.4〜29.3万円なのに対し、最も低い秋田県では平均年収262万円、平均月収16~19.8万円とペットショップ業界より大きな差があります。
またペットショップ正社員の1年目のの平均年収は15〜18万円程度が相場になっており、ここから社会保障料や所得税などが引かれ、手取りは12万円ほどになります。
このようにペットショップでは正社員で就職しても最初は1人暮らしするのにも苦労するような金額になってしまうのが現状です。
しかし大型のチェーン店の方が、比較的給料や福利厚生は充実していることが多いようです。
ペットショップのアルバイト・パートの平均時給

ペットショップのアルバイト/パートの平均時給は、地域や店の規模にもよりますが大体900~1,000円前後が相場です。
これは他の職種のパート/アルバイトと比べてもそれほど差はなく、平均的な時給だといえるでしょう。
平均年収の低い地域の場合、正社員勤務よりパート/アルバイトで長時間勤務する店員の方が給料が高くなるケースもあります。
ペットショップ店員の給料は、店長・正社員では平均水準よりも低く、パート/アルバイトは平均的な水準になっています。
ペットショップ店員の年収の上げ方
スタッフはどのように給料が上がるのか、店長・正社員・パート/アルバイトそれぞれについて解説していきます。
ペットショップの店長の年収の上げ方

店長の場合は、給料は店の売り上げの増加によりあがることが多いようです。
店舗の環境整備、入店しやすい店づくり、流行の品種やペット用品の調査、知識のあるスタッフの育成に力を入れ、店舗全体の売り上げをあげていくよう努めましょう。
また大手チェーン店の場合、実績のある店舗で店長を経験しているとエリアマネージャーなど本社の管理部門に異動できる可能性があります。
ペットショップの本社勤務の場合店舗勤務よりも年収が上がることが多いようです。
ペットショップの正社員の年収の上げ方

正社員の場合、動物系の資格保有者は特別な手当てが出て給料が上がることが多いようです。
実際、動物病院での勤務経験者など動物業界での勤務経験者は優遇されやすい傾向にあります。
また継続して努めていくことで給料は上がっていきます。
他方で、短期間で給料を上げるには、店長に昇格することもひとつの方法です。
ペットショップでは求人の際に店長候補として正社員を募集していることがあります。
さらに正社員として勤務している間、動物取扱責任者の資格を取得することも大きな強みになるのでおすすめです。
動物取扱責任者とは、ペットショップなど動物を扱う店舗に必ず1人常駐させることが義務付けられている資格で、申請にはさまざまな条件があります。
獣医師免許や愛玩動物看護師資格の国家資格保有者はすぐに申請できますが、資格がない場合には以下のどちらかの方法で申請できます。
- 動物関連の大学や専門学校卒業及び第一種動物取扱業者での6ヶ月以上の実務経験
- 専門性を有する資格に合格及び第一種動物取扱業者での6ヶ月以上の実務経験
動物系の学校を卒業している場合は簡単に申請できます。
とはいえ動物系の学校に通っていない場合も、試験に合格し、ペットショップで半年以上常勤勤務していれば申請できます。
動物取扱責任者はペットショップ運営に必須なので、取得しておくと給料アップにつながる資格だといえるでしょう。
ペットショップのアルバイト・パートの給料の上げ方

アルバイト/パートで働く場合、特別な資格は必要ありませんが、トリマーや愛玩動物看護師の資格保有者は未経験者に比べ時給が高い傾向があります。
また長く勤めて経験やスキルを磨くことにより若干の昇給もあるでしょう。
店長・正社員・アルバイト/パートでは給料の大幅なアップは難しいですが、昇格したり資格を取得することにより給料を上げる方法があります。
まとめ

ペットショップ店員の年収は、地域によって差があるものの全国的にみて平均よりも低い水準にあり、高い給料をもらうのは難しい仕事だといえます。
しかしペットショップの売り上げや昇進によって給料が上がったり、資格やスキル次第で給料を上げるチャンスも多くあります。
給料を上げていくには、動物関連の勉強を継続していくことが何より大切です。
投稿者プロフィール

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ペッツファースト株式会社の店舗にて4年間勤務した責任者を中心に運営。在職時店舗運営、ペットの販売、店内環境整備、ペットの健康管理なども含め、ペットショップ全体の管理を行った経験を持つ。
◆保有資格:動物取扱責任者
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